劣化症状

外壁塗装の実施の目安と劣化症状の例

外壁塗装を実施する適切なタイミングはいつなのでしょうか。
「なんとなく外壁が汚れてきた気がするけど、今すぐ外壁塗装するべきなのか迷う」「外壁が傷んでいる気がするけれど、
放っておいても大丈夫かな」などのお悩みをお持ちの方は少なくないと思います。

こちらのページでは、外壁塗装を実施する時期の目安について、
1.築年数、2.劣化の症状、3.季節、4.お得なタイミングの4つの観点から解説します。

築年数

築10年が塗装の目安 - 1

塗装業界において、外壁塗装の目安は一般的に築10年と言われています。その理由は2つあります。

1つ目の理由は、建物外壁の劣化症状が明確に現れるのに10年程度かかるためです。家は紫外線や雨風に常にさらされ、少しずつダメージが蓄積されます。
2,3年では見えにくいこれらの劣化症状ですが、明確に確認でき、かつ進行しすぎないのが、およそ10年です。

ご自宅の外壁を長く保護していくためには、10年サイクルで塗装を行うのがおすすめのタイミングです。
(具体的な劣化の症状は、次項2.劣化の症状をご覧ください。)

築10年が塗装の目安 - 2

2つ目の理由は、外壁塗装に用いられる塗料の耐用年数の多くが10年前後であるということです。

外壁塗装の塗料としては、シリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料、ラジカル制御形塗料が挙げられます。
それぞれ耐用年数が異なるため、最初にどの塗料が塗られたのかによって、耐用年数が切れる時期が異なります。
耐用年数の目安については下記の表をご覧ください。

主な塗料の耐用年数

塗 料

耐用年数

シリコン塗料

8~12

ラジカル制御形塗料

1216

フッ素塗料

1620

無機塗料

18~22

新築時や前回の外壁塗装時に、フッ素塗料や無機塗料などの耐用年数が長い塗料を使用している旨の説明が無ければ、比較的単価が安く耐用年数もあるシリコン塗料を使用するのが一般的です。シリコン塗料の耐用年数は、約10年のため、塗料の効果がなくなる築10年が外壁塗装の目安というわけです。

ただし、上記はあくまでも一般的な耐用年数の目安。お住まいの環境によっては、10年より塗料の劣化が早くなる場合があります。例えば、雨の多い地域や、湿度が高い地域、日当たりが良くない、海が近い、幹線道路が近いなどの環境では、塗料や外壁の劣化の進行が早くなります。一般的には10年が塗り替えの目安と考えていただいた上で、外壁の劣化の状況に合わせて外壁塗装を検討しましょう。

では実際に、どのような劣化の症状がみられたら塗装すべきなのか、ご説明いたします。

劣化の症状

ここでは具体的な劣化の症状と塗装のタイミング度をご紹介します

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変色・退色・ツヤ引け

建物の外壁は日光にさらされ続けるため、退色、変色、ツヤ引けが発生します。

変色

主に塗装時の色とは異なった色になる現象を指します。広義では後述の退色を含みます。

赤や黄、紫、緑系統の塗料は、比較的変色が発生しやすい傾向にあります。外壁に表面に白っぽい粉が発生しているチョーキング現象、コーキングが黒く変色しているブリード現象はそれぞれ別の項目を参照ください。

退色

塗料の色彩が失われる現象を指します。

色が薄くなった、鮮やかな色彩が失われたなどは退色として扱われます。

ツヤ引け

塗装時には見られたツヤや光沢が失われることを指します。

原因

日光(紫外線)による塗料の主成分である樹脂の化学変化によるもの。

対処方法

外壁の変色・退色・ツヤ引けは、塗料成分が変化しているので、残念ながら元に戻すことはできません。塗料を一度はがし、再度塗り替えを行う外壁塗装が必要となります。

多少の変色は、外壁保護の観点からすると問題ありませんが、過度に進んだ変色の場合は、経年により塗料の保護機能が失われている可能性があります。早めに塗装店へのご相談をおすすめいたします。

チョーキング現象・白亜化

外壁の表面にうっすらと粉が発生する現象です。

手でなでると、手のひらに白い粉や塗膜の色の粉が付着する状態のことを指します。

原因

塗料が日光による化学反応を起こし、顔料が表面上に浮き出てくることで起こります。

対処方法

チョーキング自体は水やほうき等で洗い落とすことが可能です。しかし、チョーキング現象が発生しているということは塗膜自体が劣化している状態です。

外壁の保護機能が低下している可能性が極めて高いため、早めの塗り替えが必要です。放置すると外壁材や建物の劣化を早めてしまいます。外壁塗装をお早めにご依頼ください。

藻、カビの繁殖・自然汚染

建物の北側や住宅が密集している都市部、傾斜地などでは、日の当たらない外壁部分にカビや藻が発生することがあります。

また、雨に含まれる汚れが外壁に付着して起こる雨だれや土・泥、鳥の糞などが付着する汚れは自然汚染と呼びます。

原因

藻やカビは、湿度が高く、日光が当たらない場所で発生しやすい傾向にあります。自然汚染は風や雨で運ばれてきた自然界の汚れが外壁に付着することで起こります。

対処方法

藻やカビ、自然汚染は初期の段階では水洗いで落とすことができます。塗料を痛める可能性があるため、硬い金タワシなどの使用は避け、なるべく水圧と柔らかい布等で落としてください。

水洗いだけで落ちにくい場合は、中性洗剤を薄めて使用してください。ただし、近年のほとんどの塗料には、防藻、防カビの機能が備わっております。

カビや藻が発生している時点で、塗料の保護機能が低下している恐れがあります。広範囲にカビや藻が見られる場合は、一度塗装店へご相談されることをおすすめします。

ひび割れ(クラック)

藻、カビの繁殖・自然汚染

塗料の柔軟性が失われ、硬化した際に発生するのがひび割れ(クラック)です。

また強い力が加わった場合や、施工不良でも起こることがあります。コーキングも劣化によりクラックが発生することがあります

原因

クラックの原因は「地震や交通量の多い地域の微振動によるもの」「外壁内で水分が凍結と融解を繰り返すこと(凍害)による塗膜や外壁材の劣化」「紫外線による塗料の劣化」「低温下での塗装による施工不良(コールドクラック)」などが主な要因です。

また、大きなクラックは表面だけでなく下地素材自体の割れが発生している可能性があります。

対処方法

施工不良以外の場合は、経年による劣化も要因に挙げられます。小さなクラックは、補修材等で埋めることで対処できますが、幅が0.7㎜を超えるものは外壁材までヒビが到達している可能性があります。雨の浸入による外壁材の劣化に繋がりかねませんので、一時的な補修ではなく、塗装での抜本的な対策をおすすめします。

また、冬場に塗装したあとすぐにみられるクラック、新築購入直後のクラックは施工不良が原因の可能性があります。塗装業者、不動産会社への早めの問い合わせをおすすめします。

コーキングは塗装後5年ほどから徐々に経年によるクラックが発生します。コーキングにクラックが見られる場合は、防水性等の保護機能が失われている可能性が高いため、早めに塗装店への依頼をおすすめします。

金属系サイディングやサッシ、格子、水切りなどの金属部分はさびが発生する恐れがあります。

錆の種類としては主に以下の4種類があります。


赤サビ

鉄でよくみられる赤~茶色の錆のことを指します。

進行が早く、赤サビを放置すると金属の強度が失われるため、早めの対処が必要となります。

黒サビ

こちらも鉄でみられるサビですが、赤サビと異なり経年により侵食することは無く、他のサビ等から守る働きがあります。鉄製のフライパンや、鋳物の鉄材はこの黒サビを利用した商品です。黒サビを落としてしまうと、保護されていない鉄部分が露わになり、そこから劣化が始まります。深い傷などが発生しないよう注意が必要です。

白サビ

主にアルミや亜鉛などにみられる白いサビのことです。アルミ材は窓のサッシやエクステリア、車のホイールなどにも使用されています。亜鉛はガルバリウム鋼板などの金属系サイディングに含まれています。白い斑点のようなものが見られた場合は白サビの恐れがあります。

緑サビ

主に銅で発生するサビのことです。銅材は屋根や外壁材の一部として使用されることがあります。緑サビは鉄の黒サビ同様、金属の保護材としての機能を果たすため、無理に落とす必要はありません。見た目として気になる場合以外はなるべく除去しないようにしてください。

原因

赤サビは水分によるもの、白サビは海水(潮風)や、高温多湿によって空気中の二酸化炭素と反応して起きることが原因です。

対処方法

サビ自体は金属が化学反応を起こしているため、元に戻すことは非常に困難です。赤サビは広がらないようヤスリ等で削り、サビ止め材を塗布することで進行を抑えることができます。白サビもコーティング用の塗料を塗ることで、発生を抑えることができます。外壁塗装時には、さびた箇所の研磨、錆止めの処置を行いますので、大規模なサビがある場合は早めに塗装店へご相談ください。

ブリード現象

コーキング材が黒く変色している状態を指します。

原因

コーキング材が劣化し、ゴミが付着することで発生します。

対処方法

コーキングの劣化が引き起こす現象のため、コーキングの打ち直しが必要になります。ノンブリードタイプのコーキングを使用するか、保護プライマーを塗布することでブリード現象を防ぐことができます。

コーキング材の劣化は隙間が発生することで雨漏りや断熱性能の低下、外壁内でのカビの発生などを招く恐れがあります。早めにコーキングの打ち替えを行ってください。

塗膜のはがれ・膨れ

塗装のみがはがれる、また塗膜の表面が膨らんだ状態にあることを指します。

原因

塗装の経年による劣化が主な要因です。ただし外壁塗装後すぐに表面が膨らむ場合は、外壁材や下地塗料、上塗り塗料の組み合わせが悪い施工不良の可能性があります。

対処方法

塗膜のはがれ、膨れは塗料自体が経年でかなり劣化していることを示すサインです。

一時的な対処ではなく、外壁塗装を強くおすすめします。塗料の保護機能はほとんど失われており、放置すると建物自体の劣化に直結する危険な状態です。

季 節

季節ごとの塗り替えメリット・デメリット

さて、「築10年を過ぎている」「外壁の劣化症状がみられる」などの理由で外壁塗装を実施することを決めました。
ですが、いざ塗装工事を始めるとしたらどの季節がいいのか、気になりますよね。

外壁塗装ができる環境は、使用する塗料によって異なります。各塗料メーカーの一般的な推奨基準は以下のとおりです。

気温:5℃以上  湿度:85%以下

つまり、積雪地域や寒冷地域を除けば、一年中施工することが可能です。

ただし、雨の日は施工できません。季節ごとにメリット・デメリットがありますので、工期や工事中の過ごしやすさなど、
優先したい項目を決めて、ご自身にあった工事時期を選択しましょう。

メリット

気温や湿度が安定しており、塗料も乾きやすい

デメリット

砂埃や黄砂などのゴミが付着することがある

塗装業者が繁忙期に入るため、工事日程が希望通りにいかないことがある

メリット

適切な湿度を守れば、問題なく工事を進めることができる

デメリット

雨が多いため工期が延びる

メリット

塗料の乾きが早いため、予定通りに工事が進む

デメリット

窓を開けることができない

日中は屋根が暑くて登れないので、朝早い時間や夕方に工事が行われる

メリット

湿度が低く、塗料が乾きやすい

デメリット

台風が多く工期が延びる可能性がある

メリット

窓を閉め切っていても問題なく過ごせる

デメリット

気温が5℃以下になると施工ができなくなる

塗料の乾燥に時間がかかる

季 節

メリット

デメリット

気温や湿度が安定しており、塗料も乾きやすい

砂埃や黄砂などのゴミが付着することがある

塗装業者が繁忙期に入るため、工事日程が希望通りにいかないことがある

梅 雨

適切な湿度を守れば、問題なく工事を進めることができる

雨が多いため工期が延びる

塗料の乾きが早いため、予定通りに工事が進む

窓を開けることができない

日中は屋根が暑くて登れないので、朝早い時間や夕方に工事が行われる

湿度が低く、塗料が乾きやすい

台風が多く工期が延びる可能性がある

窓を閉め切っていても問題なく過ごせる

気温が5℃以下になると施工ができなくなる

塗料の乾燥に時間がかかる

外壁の種類と塗り替え時期

外壁の種類と塗り替えの時期の目安

外壁塗装を依頼する上でまず確認したいのが、自宅の外壁の種類によって塗装の時期や工法などが異なってきます。
もしも外壁の素材がわからない場合は、塗装業者に確認してみましょう。

塗替え時期710年耐用年数目安40

外壁に設置するために開発された塗装パネルをサイディングと言います。窯業系サイディングは軽量で工期も短く済み、大量生産が可能なことから、近年に建てられた一戸建ての外壁に多く利用されています。窯業系サイディングは、セメントや繊維質を主な原料として高熱で焼き上げて製造されます。

表面の塗装で防水性を保っているため、メンテナンス頻度を下げてしまうと塗料の切れ目からサイディング自体に水分が浸み込み、深刻なダメージを与えかねません。またサイディングを貼り合わせた際に生じる目地も、コーキングと呼ばれる充填剤で防水性を保っていますが、経年とともに劣化していくいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。コーキングの耐用年数は510年。ヒビや剥がれが補修の時期のサインになります。

窯業系サイディングは表面の塗装とコーキングの同時実施がおすすめです。またサイディング自体の耐久性は40年程度。サイディングに大規模なヒビやカビ、剥がれが見られる場合は、張替えがおススメの場合もあります。

窯業系サイディングの塗装

塗替え時期1015年耐用年数目安40

金属系サイディングとは、アルミニウムやステンレス、ガルバリウムなどの金属を原料とするサイディング材。窯業系サイディングよりヒビやカビなどに強いのが特徴です。金属由来の光沢の美しさに加え、断熱性にも優れており、新築では窯業系サイディングの次に人気の外壁材です。ただしサビが発生しやすく、窯業系のサイディング同様、塗装でのメンテナンスは必要不可欠です。

塗り替え時期は10年からと他のサイディング材と比べて比較的長く、メンテナンス頻度は少なめです。

塗替え時期812年耐用年数目安40

木質系サイディングは天然木の表面に塗料を塗り付けて作られたサイディング材です。窯業系サイディングにも木目のデザインの物がありますが、木質系は素材もすべて木でできているのが特徴です。天然木を使っているため、湿気や日光による劣化などを防ぐための塗装が欠かせません。耐用年数は40年と他のサイディング材と遜色ありませんが、塗り替え頻度は短い部類に入ります。

塗替え時期1020年耐用年数目安40

塩化ビニル樹脂を主な原料にして作られた樹脂系サイディングはアメリカを中心に普及している素材です。外構の水道パイプ等でも使われる強度の高い樹脂材ですので、耐久性、耐水性、断熱性に優れており、また素材自体に着色を施しているため、傷などによる色落ちが少ないのも特長です。また、コーキングを必要とせずに施工できるため、塗装のみの補修で済むメリットもあります。樹脂系サイディングは日光に含まれる紫外線が劣化を引き起こすため、UV対策が施されている塗料で塗装を行います。

塗替え時期810年耐用年数目安60

ALCボードはコンクリートに小さな気泡を多数含めることで軽量化した舗装材です。コンクリートのもつ、耐久性・耐火性などに優れた素材で、サイディング材の中でも耐用年数が長いのが特長です。表面には凹凸の模様など意匠性を持たせたもの、フラットなデザインに仕上げたものなどがあります。このALCボードは工法上、小さな気泡が表面にも発生します。塗装が薄いと、この気泡から水分が素材に入り込んでしまい、ボード内の鉄骨を腐食させ劣化を早める原因になります。

塗替え時期810年耐用年数目安30

モルタルとは、石灰を主成分としたセメントに砂や水などを混ぜてつくる素材です。高度経済成長期の日本の戸建て住宅のほとんどはこのモルタル外壁によってつくられました。現在でも、サイディング材や木材など、他の素材と組み合わせることで住宅の外壁に利用されるケースがありますが、モルタルだけの外壁塗装は圧倒的に少なくなっています。これはサイディング材の普及により、工期や技術力が必要なモルタル壁が敬遠され、左官の技術者の高齢化なども相まって減少傾向に繋がっているからです。

モルタル自体は、高い耐久性、耐火性を持ち合わせているため、住宅の外壁として申し分のない素材です。またサイディング材のようにつなぎ目がないため、コーキングのメンテナンスも不要です。しかし経年とともにひび割れが発生することがあり、このひび(クラック)から雨漏りや浸水の悪影響が出てしまいます。モルタル外壁の塗装の場合は、この補修メンテナンスが欠かせません。塗り替え時期は810年と他のサイディング材と比べても一般的な間隔です。

塗替え時期なし耐用年数目安40

タイルは陶磁のものや石材のものが外装材として使用されます。これらは天然由来の素材で、雨の浸水も少なく耐熱性にも優れているため、外壁塗装の必要はありません。ただし、目地に使用されているモルタルにはカビが発生する恐れがあるため、洗浄などのメンテナンスは必要になります。壁の一部にタイルが使用されている場合、外壁塗装時には塗料が付着しないよう養生します。

塗替え時期なし

壁材として木材が使用されている場合、原則として塗り替えは必要ありません。木造の建物は木材の吸湿性などをうまく利用して建てられており、他の壁材のようにコーティングする必要性が薄いこと、外壁に傷みが生じた場合は、木材ごと交換してしまうことなどが理由です。もちろん木材への塗装が不可能なわけではなく、天然樹脂塗料やウレタン樹脂塗料など使用して木材を保護することもできます。しかし木材は吸湿性や伸縮性などの理由から塗料の接着が他の外壁材と比べ低く、塗り替え頻度は高くなってしまいます。

また木材ならではの塗料として、素材の内側に染み込んで保護する浸透タイプの塗料も利用可能ですが、こちらも他の壁材の塗装ほど長期にわたる効果は出にくく、継続して効果を得るためには3年~5年周期での塗り替えが必要になります。木造の建物もメンテナンスは必要ですが、塗装による保護は一般的ではありません。

塗替え時期56年耐用年数目安15

トタンは表面を亜鉛でメッキした鋼板のことで、広義には金属系サイディングの一種といってもいいでしょう。住宅などの屋根材、壁材として明治から昭和にかけて幅広く利用されましたが、高耐久の新しいサイディング材の普及とともに、住宅での利用はごくわずかとなりました。塗り替え期間は短く、長くても6年程度。トタン壁の場合は外壁リフォームも視野に、塗装を行う方が良いでしょう。